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沈黙が公園を包んだ。
男達は僕を『こいつ頭湧いてんのか?』と言う目で見てくる。
…当然、パイプが緩んだ様子はない。
あー……
失敗?
カチャ、と金属音がした。
ハッとしてそちらを向くと、ナイフを取り出し構えている男達が目に入った。…大人げないなあ…。
はぁ、と溜め息をつく。そんなことされたら、僕の悪い癖がでちゃうじゃない―――――――――――…
「…何?年頃の女の子をこんなに大勢で取り囲んでさ……更にナイフ?
ぷっ…笑える。
そんなに僕のこと捕まえたいの?」
……あ。
ほら~、出ちゃったよ馬鹿…
僕は内心頭を抱える。
僕の悪い癖、その①。『大勢の男に囲まれると向こう見ずになる』。
馬鹿にされたのがわかったのか、男達の額に青筋が浮かぶ。あ…ー不可抗力だからやめてえ~…。
「…のアマ! ぶっ殺す!」
「あははっ…またまたぁ。兄さんみたいなこと言っちゃって。でも…
チンピラっぽくてそこが逆に良いねぇ!」
我に返ったのは一瞬で、すぐに興奮状態に陥ってしまう。
はははっ…『ぶっ殺す』て。
今時の若者も使わないような言葉…。
少女相手に恥ずいとか思わないのかなあ?
僕の挑発に乗り、切れた男達がこちらに走ってくる。
僕の横で、風を切る音がする。
「…もう、危ないなあ」
ヒュンッ
「だ~か~らぁ」
ビュンッ
「無駄なの。今の僕にね~、雑魚は当てられないと思うなあ」
パイプを顎に当てられていると言うのに余裕の表情で僕は隠し持っていたスタンガンをゆったりと構える。
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