プロローグ

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「だからさー、死んで?もうあんたの苦しむ顔とかどーでもいいや。瑞木ちゃんさえ手に入れば。」 瑞木……っ 賀山が手に持っている金属バットを振り上げるのが、嫌にゆっくり見えた。 はっ…嫌がらせかよ。確か、死ぬ前って時間がゆっくり動くように感じると聞いたことがある。 (走馬灯と言えば良いものを。) いや、そんなことはどうでもいい。 瑞木だ。俺はどうなろうと構わない。けど…。瑞木、瑞木だけは――――…… ギンッ …は? 俯いていた顔を上げるとそこには、ああ、そこには…… 俺の、 唯一の弱点がいて。 「兄さん…、大丈夫?」 いつもみたいに、少し頼り無さ気に、 笑った――
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