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「いや、返さなくて良いよ。アンタにあげる」
「え?でも…」
「いいから!」
「う…うん」
「それさ、私がもう片方持ってて合わせるとハートになるんだ」
「ああ、そんな感じはしてたけど…」
「意味、わかる?」
「……」
サトルは困惑していた。
「サトルさ、ミホちゃんが転校してショック受けてたでしょ?」
「…うん」
「だからさ、元気づけてあげようかと思って」
「…これで?」
「…いや、ゴメン。こんな言い方は私らしくないね」
チアキは大きく深呼吸して、
「私はね、アンタがミホちゃんのことを好きな気持ちよりアンタのことが好きなの!…悪いっ?!」
最終的にキレ気味になるところが彼女らしい。
「ええっ?そうなのっ?」
サトルは思い切り驚く。
いつも意地悪されていた相手からの突然の告白。驚いて当然だ。
でも…悪い気はしなかった。
「ありがとう。嬉しいよ、チアキちゃん」
「…ふんっ」
照れてぷいと横を向いてしまうチアキ。
いつも男勝りなだけに余計に可愛く見えた。
まだ始まったばかりの恋。
ゆっくりゆっくり育てよう。
二人分の想いのカケラ。
好きのカケラ…。
<完>
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