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「なあ、サキ。…元気だせよ」
「…そんなの無理に決まってるじゃない!お母さんが…お母さんが死んじゃうかもしれないんだよ!ケンちゃんにはわからないんだよっ!」
「病院の先生は今夜が峠って言ってたんだろ?大丈夫、大丈夫だって」
「気休め言わないでっ!わたし、お母さんがもしいなくなったら…うううっ…」
「泣くなよ、サキ。…笑えよ」
そう。いつだってサキの笑顔は俺を助けてくれた。
俺が(ギリギリだけど)不良にならなかったのも、幼なじみのサキがいつも笑顔で「大丈夫」って言ってくれてたからだ。
「サキ、笑えよ。…お前の笑顔は魔法なんだよ…」
「…何よ、それ?意味わかんないよ…」
「あ~なんつーか、お前の笑顔には不思議な力があるっての?なんかそんな感じなんだよっ!…あーっ!俺、何言ってんだっ!?自分でわけわかんね~っ!」
「…ケンちゃん、頭大丈夫?…でも…何か元気出たかも。フフフッ」
「お、笑ったな!お前はそれで良いんだよ!」
「何よ~それ!アハハハッ!!」
その時、サキの携帯電話が鳴り響いた。
「も、もしもし!お父さん?お母さんに何か…えっ!本当?…良かったあ…わかった、すぐ行くね」
「…峠越えたみたいだな」
「うんっ!ホントに良かったあっ!」
「だから言ったろ?お前の笑顔は魔法なんだよ」
「またそれ?偶然でしょ?」
「そんなことねぇよ。…そうだ、なんつーか…また笑えなくなったら俺に言えよ。…お前がずっと笑顔でいられるように…俺が守るから…」
「えーっ!?何て言ったのっ?聞こえないよ!!ゴメン、わたしもう病院行くからっ!また、後でね!」
…サキのやつ…いつの間にあんな遠くへ…。
「ま、いいか…」
笑えよ、サキ。
お前の笑顔が
俺は大好きだからよ…
<完>
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