笑顔

2/3
前へ
/9ページ
次へ
「なあ、サキ。…元気だせよ」 「…そんなの無理に決まってるじゃない!お母さんが…お母さんが死んじゃうかもしれないんだよ!ケンちゃんにはわからないんだよっ!」 「病院の先生は今夜が峠って言ってたんだろ?大丈夫、大丈夫だって」 「気休め言わないでっ!わたし、お母さんがもしいなくなったら…うううっ…」 「泣くなよ、サキ。…笑えよ」 そう。いつだってサキの笑顔は俺を助けてくれた。 俺が(ギリギリだけど)不良にならなかったのも、幼なじみのサキがいつも笑顔で「大丈夫」って言ってくれてたからだ。 「サキ、笑えよ。…お前の笑顔は魔法なんだよ…」 「…何よ、それ?意味わかんないよ…」 「あ~なんつーか、お前の笑顔には不思議な力があるっての?なんかそんな感じなんだよっ!…あーっ!俺、何言ってんだっ!?自分でわけわかんね~っ!」 「…ケンちゃん、頭大丈夫?…でも…何か元気出たかも。フフフッ」 「お、笑ったな!お前はそれで良いんだよ!」 「何よ~それ!アハハハッ!!」 その時、サキの携帯電話が鳴り響いた。 「も、もしもし!お父さん?お母さんに何か…えっ!本当?…良かったあ…わかった、すぐ行くね」 「…峠越えたみたいだな」 「うんっ!ホントに良かったあっ!」 「だから言ったろ?お前の笑顔は魔法なんだよ」 「またそれ?偶然でしょ?」 「そんなことねぇよ。…そうだ、なんつーか…また笑えなくなったら俺に言えよ。…お前がずっと笑顔でいられるように…俺が守るから…」 「えーっ!?何て言ったのっ?聞こえないよ!!ゴメン、わたしもう病院行くからっ!また、後でね!」 …サキのやつ…いつの間にあんな遠くへ…。 「ま、いいか…」 笑えよ、サキ。 お前の笑顔が 俺は大好きだからよ… <完>
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加