内部捜査

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  「監督。これでサッカー部の資料全部です。」 「ん…サンキューな」 「……」 「……」 「……10年前は、こうなるなんて、予想だにしてませんでしたね…」 「…そうだな」 「…それも、我が校の浸蝕が極めて進行していたなんて」 「……」 監督は、資料の右上に留められている かつて彼らが入部した頃の写真に目を移した。 「こんなに純粋に笑っている奴らが…」 「……」 「…今では、フィフスセクターに抹消されるかもしれない、なんてな…」 窓の外に目をやる 曇天の下に佇むグランドは 楽しくサッカーをしている彼らの記憶を虚しく呼び起こすかのように 薄暗い土色をしていた
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