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「よし!行くぞっ」
恭平は元気よく言い放つ。
家から駅まではそう遠くはないが理由があって原付を走らせる。肩に中古で買ったフォークギターをかけて。
途中で見える陽が落ち真っ黒に染められた海から吹いてくる風がまだ冷たく体の芯に冷える。
「いいか?今日はな~まずこの新曲を頭に持ってきてだな?」
恭平の原付の後ろをゆっくりと走り、今日のプログラムを呟く。たかが路上ライブだというのに…。
中学のときからこの細かさは変わっていない。そう、恭平とゲンは中学校からの友達だ。
音楽一家に育ったマルチなゲンはほとんどの楽器を扱える。今となっては恭平と一緒にフォークギターを弾く。
そしてゲンの今日のプログラムを聞いているうちに海沿いを抜け目的地の駅前に着いた。
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