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穏やかな春の日だった。始まりは、いつだって穏やかだった。
人口はそれほど多くない街のハンバーガー・ショップで、何をするでもなく時間をもて余している二人の少女がいた。
二人とも高校の制服を着ていた。月曜日の午後0時。本来なら場違いな二人だったが、誰も気にする者は(そもそも店内に客はほとんどいなかったが)いなかった。
一人は短めのウェーブがかった明るい髪で、顔立ちははっきりしていて、西洋の血が混じっているようにも見えた。
もう一人は黒髪のストレートで、幼い顔立ちをしていた。
「ねえ。よく考えてみたけど、カップ焼きそばってやっぱり焼いてないよね。」
携帯電話を弄くっていた黒髪の少女が、もう一人の少女に声をかけた。しかし声をかけられた少女は、気づいてないというふうに、頬杖をしたまま外を眺めていた。
「…ねえ。ねえったら!斉藤!」
「うわっなに?ごめん聞いてなかったからあと三回言って。」
「もう、相変わらず斉藤ってボーッとしてるよね。」
「ごめんってば。でもアケミって声小さいんだよ。」
「アケミって誰?私アヤカだけど。」
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