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斉藤と呼ばれた明るいショート・ヘアーの少女。彼女がこの物語の“1人目の”主人公だ。
本名は斉藤ポテミ。一緒にいる黒髪の雑魚はポテミの一番の親友のアヤカだ。
高校三年に進級したばかりの彼女たちが、平日の昼間からハンバーガー・ショップで時間を潰しているのに、勿論深い理由はない。
それほどに、彼女たちは毎日学校に行くことに深い意味を見出だしていなかった。
明日になれば、今日と変わらない心持ちで、なのに平然と学校に行くだろう。それだけ彼女たちは、漫然と日々を過ごしていた。
「ねえ、斉藤は好きな人とかいるの?二組の吉田君とかかっこよくない?」
「別に…。彼が10トンの鉄を持ち上げることが出来るなら、かっこいいかも。」
そんな他愛ない会話をしながら、彼女たちの時間は過ぎていった。怠惰に。そして優しく。
「ちょっと斎藤!また私のカバンにチーズバーガー詰めたの!?」
「あんたが油断したのが悪いんだ。」
「マジ斎藤って人でなし。人に嫌がらせをするのが趣味なの?」
そうして、適当な時間になると、店を出て家路に着く。家族には“学校に行ってきたというような顔”だけしておく。それが“こういう日”の決まりであった。そしてそれで十分であった。
「出ようか。」
「うん。」
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