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「君と仲良くなりたいな。」
男に躊躇の色は見られなかった。何の迷いも計算も見られなかった。ただ、微笑みを崩さずにそう言った。
「はぁー?友達死んだんだけど。本当チャラいんですけど何だこいつ。」
ポテミにはその真っ直ぐさが気に入らなかった。確かにポテミもこの男が気になっている。この男の名前や、趣味や、普段どんな音楽を聴いて、どんな歌を歌うのか、気になってはいた。しかし、出会ったばかりのこの状況でその態度を示すことはポテミには出来なかった。
「俺はタツヤって言います。良かったら連絡先だけでも交換してくれないか。」
「うわーこいつ本当にアホ!」
ポテミはとりあえず連絡先を交換して、タツヤと名乗ったその男と別れることにした。
「そういえば君の名前も聞きたいな。」
「斎藤。」
「斎藤か。良い名前だね。的を射ている。」
タツヤは的外れなことを言うとトラックに乗り込み、去っていった。
ポテミは初めて自分の心臓の鼓動が速まっていることに気づいた。
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