序章

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「悪いね、言葉が足りなかった。その分、自社株に振り分けるから。社内的には話さないでおいてくれよ」 分割前の株式を割り当てる、それがどう言った事なのかは想像がついた。 最終的に、私は1%の株主になっていた。時価総額にすれば、途方も無い額になる。 社内では、冷やかな目で私を見る者も多かった。 『社長の愛人』そう思われてもいた様子だった。 お陰で、社内恋愛など欠片も機会が無い。 無用な非難を浴びない為には、仕事で結果を出すしか方法は無い。 そうして、私は三十台の半ばに手が届きそうだ。 正直に言えば、社長に惹かれた時期もある。 それでも、彼は私に「女」を求めてはいなかった。
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