序章

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彼は、相変わらず誘いをかけては来なかったし、私も誘う事が出来ない。 年齢も、仕事も嘘なのだから。 本当の年齢が判ってしまえば、メッセージさえ途切れてしまうかも知れない。 それは、辛い事だった。 仕事をしている時には、思い出す事はなかった。 けれど、独りで過ごす夜になれば誰かと繋がっていたいと思う。 当たり前の事なのだ、抱かれる事も、抱く事も人として必要な行為なのだと感じる。 その、必要な行為は相手がいなければ成立しない。成立した処で、精神的な満足に続く保証もない。
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