序章

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《えりさん、今晩は。ご機嫌はいかがですか?》 彼のメッセージには、顔文字すらない。何度もやり取りしても、砕けた言葉も返って来ない。 《ありがとうね、明日はお休みだからね。ホッとしてる》 《そう、それは良かった。えりさんの機嫌が良いと、僕も嬉しいよ》 のんびりとした、やり取りは続く。彼の事を探りたくなっているのは、私の方だ。 東京近郊で、何かを作る仕事をしていると話していた。 一人暮らしで、お酒にはあまり強くない、二十代の半ば。 ハンドルネームは《蒼》
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