序章

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--------- 抓んでいた頬の上で、蒼の瞼がピクリと動いた。それでも、瞼は開かない。 「どうしたの?えり…目が覚めちゃったの?」 シーツの下で、彼の手が腰にまわり、指先がお腹を抓む。 「もう、そこは止めてよね。気にしてるんだから」 「おいでよ、一緒に寝よう」 腰にまわる手に、少し力が入る。私も、素直にその力に従った。 服を着ている時には感じない、筋肉質でしなやかな腕。 そこから繋がる肩や胸の辺りにも、滑らかな質感の肌が繋がっている。 私の頬は、ちょうどその辺りに収まる。心臓とは逆の位置、それでも耳を澄ますと鼓動が聞こえる。 トクン…トクン…その、心地良い響きと、優しく撫でられる髪の感触につられて眠りに落ちた。
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