序章

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「そこに座って」 何かが逆鱗に触れて、怒鳴られるものだと思っていた。 予想外に、落ち着いた優しい話し方にほっとする。 「あの…どう云った御用件でしょうか?」 六畳程の社長室、デスクの向こうの背の高い椅子に座ったまま、こちらを見ない。 「悪いね、少し待ってくれるかな?」 「あっ、はい…」 手元を伺うと、以前に私が出した企画書と、見た事の無い資料を見比べている。 ようやく顔を上げて私を見ると、応接セットの向かいに座った。 「これさ、どう思う?」
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