序章

5/40
前へ
/40ページ
次へ
手渡されたのは、他の会社からの業務提携に関する提案書だった。 「あの~どう思うって…私に聞かれてるんでしょうか?」 「他に誰も居ないだろ」 愉快そうに社長が笑った。社内で、彼が愉しそうに笑うのなど、初めて見る。 「はい、そうですね…」 どうして良いか解らないまま、もう一つの企画書に視線を落とした。 「似てるだろ、君の企画にさ。でも、君の企画の方が面白そうだ」 なるほど、確かに似た提案だった。それでも、私の企画など現実的では無いと思えた。 それは百も承知した上での事だった。 会社の現状など無視した上で、新規事業の企画を出せと指示したのは社長なのだ。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4181人が本棚に入れています
本棚に追加