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『いらっしゃいませ』
そう言いながら,真理恵はグラスを磨く手を止めずに扉を見た。
「あれ?今日はまだママ1人かい?」
いつもの常連客だったので真理恵は安堵な表情をした。
『まだ八時になったばかりだからね。女の子は九時に来るわよ。中山さんのお気に入りの陽子チャン、今日は出勤よ。って、そんな事知ってるか』
フフフっと笑ながら真理恵は水割りの用意をした。
「もう、ママにはかなわないよ~。まっ僕が店に来るのはママ目当てだけどね。陽子は今のお気に入りなだけさ。実際,陽子なんかまだ入ったばっかりじゃないか!けど僕はもう三年も通っている。ねっ?」
と笑ながら中山はママのご機嫌取りのようなことをしている。
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