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マリアに鍛冶屋の鍵を渡し、戸締まりを頼み一気に正門まで走り抜けた。
普段賑やかな中央広場でさえ人がいない、家の中で隠れているのだろう。
『待ちなさい、この先は危険ですのでお下がりください!』
兵士に止められた、そりゃそうだろう…なんせこっちはただの鍛冶師であり兵士ではない、ましてや騎士でもない。
そんな人間をこの先にある正門を抜けた先にいる凰虎とクラインの戦いを邪魔される訳にはいかないだろう。
つまり足手まといと思われてるのだ、まったくその通りだけどね。
『大丈夫だ、俺はこの先にある正門の横の家が俺の家だからな、帰るくらいは許して貰えるか?』
手を顎に乗せ困った表情を見せると兵士はやや困った顔で『そうだな、すまないな緊急事態なもんでこの先を通ろうとする人をつい野次馬かと思ってしまった、通ってくれ。』道を空けてくれた。
『ありがとう、それとすまん』
謝った直後走りだし正門の前でハンマーを扉にたたき付ける。
『おるあああぁぁぁぁ!』
ギギギ
鈍い音と一緒に扉がゆっくりと開かれ…ひら…?
ギギギ…バタ-ン
正門の扉は内側からは【押して開く】のではなく【引いて開く】のだ。
もちろん開くはずの無い扉は圧倒的な【押し】の力に負け、扉は外側に倒れた。
空気が固まる、倒れた扉の向こうには傷だらけで今にも死にそうなクラインが扉の下敷きになっていた。
これは俺のせいじゃない。
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