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普段ならば簡単にこなせる依頼だったがこんな日に限って邪魔が入るのだ。
『よう、暇か?』
ニヤニヤしながら話しかけて来る男はクライン、この国の騎士であり昔ながらの…腐れ縁だ。
『この山積みにされた武器を見てその言葉をもう一度その言葉を言ってみろ…明日の朝日は拝めないと思え』
脅すように言ってみるがこんな会話はいつも通りなのでクラインも笑いながら研ぎ作業を見ている。
『お前の親父もそうだけど、お前も大概だよな』
この依頼を請けた事だろうか、それとも鍛冶屋を続けているからだろうか?
この世界には、鍛冶屋が少ない…
理由として挙げられるのは
1若者は国の兵士として働かされる事が多い
2国の税が高すぎるため鍛冶屋で食べていくのは非常に厳しい
3鍛冶を出来る者がそもそもいない。
そんな事を考えているとクラインは何が楽しいのか俺の研ぎを笑顔のまま見ている。
『騎士様は暇ですかそうですか、おーいここで騎士団長様が仕事さぼってんぞー!』
外に聞こえるように大声で叫ぶとクラインの笑っていた顔が徐々に青くなっていく。
『おい…てめーせっかく俺がばれないように巡回抜け出てきたってのにそりゃね…』
ドドドドド
バターン
…
扉が普段開くはずのない所まで一気に開かれる。
『うふふふふ…今日は用事があるから巡回には出られないとか言ってた騎士団長様がこんな所でサボってやがりましたか』
走って来たのは騎士団長代理マリアだ。
『ま、まてマリア!俺はっ…そうだ、これだあれだそれだあぎゃあああぁぁぁ』
急に現れたマリアに何か言い訳を言おうとあれやこれやと言った瞬間サブミッションを掛けられている。
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