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先に展示してきた金額にあやうくOKを出すところだった。
『い、依頼内容を聞かせろ。』
いかん舌がすでにOKといいたがっている。
『討伐任務だ、しかもかなり重大な任務だ。』
笑っていたクラインは依頼の話しを始めると笑うのを辞め近年まれに見るくらい真剣に話しを始める。
『ついさっき巨魔が国境を越えてこっちに向かって来てると隣国から連絡が入った。』
巨魔とは巨大な魔物の事を意味する。
その昔一つ眼の巨魔、通称サイクロプスに街や国6国が崩壊させられた。
それもたった1体相手にだ。
『その巨魔は凰虎、名前の通り口から火を出すし何より速いと言われる、過去巨魔の中でも厄介な魔物ベスト3には入るはずだ。』
全長4メートル近い凰虎は過去の歴史を探してもおそらく初めてだろう。
この情報を手に入れるだけで隣国はどれだけの犠牲が出ただろうか。
放っておいても倒さない限りは今いるこの国も安全ではない。
それ以上にクラインはこの国を護る為に凰虎を討伐しようとしているのだ。
『どうだ?この依頼請けてくれるか?』
その眼は真剣だ。
長年付き合ってるからこそわかる不安まじりの期待。
おそらくここで断ってもクラインはそっか、の一言でまたいつもの笑顔に戻るだろう。
それと同時にそれが最後の笑顔になるかもしれない。
じゃあどうするか?答えは決まっている。
『その依頼、断る!』
『えええぇぇぇ…』
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