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こういうときは、秋頼み。
俺はちらっと秋を見る。
秋はそれに気が着いて、軽く頷く。
「京。」
「ん?」
「正也は?」
「さあ、部屋だろ。」
「呼んで来いよ。」
「なんで。」
「なんでって、家の相談なんだから。」
「自分で行けよ。あいつなんか機嫌悪いんだよ。」
「なんで?」
「知らねえよ。」
「おまえ、わかんねえの?」
「わかんねえよ。」
「それじゃあだめだろ。」
「はあ?」
「継承させたんならちゃんと面倒見ろよ。なあ、和泉。」
「え・・・ああ。」
いきなり説教を始めた秋を珍しそうに見ていた和泉さんはいきなり話が振られたので、ちょっとびっくりしていた。
「普通逆だろうが。」
京は何食わぬ顔で反論する。
「正也はまだ子供だ。おまえがそんなでどうすんだ。なあ、和泉。」
また和泉さんに振る。
俺は秋がやたら和泉さんに話を振るのがおかしくて、吹き出しそうになるのを堪える。
「・・・そうだな。」
和泉さんはなんで俺に振るといでもいうように返事を返す。
「和正に言われての覚えてないのか。継承はおまえが思い留まらせるべきだったんだぞ。」
留めの一言。
「わかったよ。呼んでこればいいんだろ。」
京は渋々席を立つ。
「京。」
秋が呼ぶ。
京は面倒そうに振り返る。
「笑顔は?」
「はいはい。わかってますよ。」
京はにこっと作り笑いをすると、正也を呼びに行った。
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