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そういう訳で、親父と母さんと俺と京で出張中。
黒鬼の件で荒れっぱなしになってる地域の処理だ。
一仕事終えて、帰る途中、かなり山深いところまで来ていたので食事をできるような場所がなく、途中にあった売店で弁当を買って河原で食べることになった。
京は食べ終わると川に入って遊びだした。子供の姿をしてるので、妙に様になる。
そこへ親父が便乗。
スーツ濡れるぞと注意してもお構いなしだ。
水を掛けあって遊んでる。
母さんと俺は、木陰に座ってそれを眺めてた。
「なんか、あれだな。」
「え?」
「じいちゃんと孫だな。」
母さんがぷっと吹き出す。
「怒られるわよ。」
「でも、見えるだろ。」
「そうね。」
親父と京はすごく楽しそうだ。
母さんはそれを満足そうに眺めてる。
傍目には、どういう風に見えるんだろう。
再婚かなんかでごちゃごちゃっとなった感じかな。あ、でも京は見た目が外人だからな・・・。
楽しそうに遊ぶ二人を見ていて、ふと思った。
もしかして、京は子供の姿が本当なんじゃ・・・。
だったら、京の親父を好きっていうのは、そういう好きなんじゃ。
少し日が落ち始めてる。昼食休憩だったけれど、だいぶずれ込んだからな。
「二人とも帰るぞー。」
声を掛けても、一向に上がってこない。
「ったく、子供かよ・・・。」
先に荷物を置きに行っていた母さんが戻ってきたのが見えた。
「母さん、もう戻って、行こう。あいつらだめだ、ほってく。」
母さんに向かって叫ぶと、母さんが慌てる。
「和也っうしろっ。」
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