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「あのね、日和に殺されるわよ。」
母さんが却下。
「そうか。」
親父は本当に残念そうだ。
ちょっと可哀想になる。
仕事とはいえ大変だな。
俺はびしょ濡れのまま本部へ帰った。
「兄貴、どうした。」
京の帰りを待ち構えてた正也が俺を見て目を丸くする。
「おまえんとこの子鬼、もうちょっと躾しとけ。」
「え・・・、京?」
俺は着替えをとりに和泉さんのオフィスへ。
「お疲れ、無事終わったようだな。」
「はい。問題なく。」
「なんで、びしょ濡れなんだ。」
「京に掛けられたんですよ。」
「京に?」
「親父と京が川で遊びだして、巻き込まれたんです。」
「おまえらは何しにいったんだ。」
和泉さんはおかしそうだ。
「そうだ、和泉さん。親父達が発つまでに時間ってとれませんか?」
「時間?」
「川で遊んでた京が、キャンプに行こうって。親父も行きたいみたいなんですけど、忙しいからって母さんに却下されてて、スケジュール都合つきませんか?」
「そうだな。大仕事が終わったから慰労は考えないとは思ってたんだ。ちょうどいいかもしれんな、考えてみよう。」
「ほんとですかっ。」
「ああ。」
和泉さんの計らいで、和泉グループは慰労を兼ねてバーベキューをすることになった。
幹事は、俺と正也と京。
場所は京の推薦の山奥の場所。どうやら、正也と隠れていた場所らしい。
すぐ近くに川が流れていて、いい場所だ。
その日は朝から買いだしに回って、バーベキューの下準備をして荷物を運ぶ。
正也は京が言っていた通り、見事に火を起こした。
「凄いな、正也。もう真冬に放り出されても生きていけるな。」
「放り出す気なのかよ。兄貴。」
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