141人が本棚に入れています
本棚に追加
みんなで河原に降りる。
真っ暗なので、母さんの銀色の炎を灯す。
京はさっそく川に入って遊び始めた。
無邪気な奴だな、鬼の癖に。
秋も正也も一緒になって遊んでる。
バーべキューでかいた汗を流すように、みんなTシャツを脱いで水を掛けあってる。
俺も脱いで、少し水に浸かる。
水が冷たくて、気持ちいい。
和泉さんは親父と母さんの傍に座って、たばこを吸ってる。
俺は母さんの炎を真似て小さな炎を作り、それを母さんの方へゆっくりと飛ばす。
母さんはそれに気がついて自分の炎がコントロールを離れたと思ったようで一瞬驚いていた。
「鬼火・・・。使えるようになったの?」
俺は黙って頷く。
不意に、気配がした。
一瞬で場の空気が変わる。
和泉さんは俺の傍へ飛んできて、俺の腕を掴む。
どこだ。
「大丈夫だ。」
京が言う。
みんなが京のほうを見る。
「この山に住んでるやつだ。」
ふわっと俺の前に気配が現れる。
「わたしも一緒に遊びたい。」
ワンピースを着た女の子・・・。
宙に浮いてる。
5、6歳ってとこだ。
そっと俺の頬に触れようとする。
この子、鬼だ。
「だめだよ。こっちへおいで。」
京がその子の手を引く。
「京・・・?」
女の子が京の方を見る。
京はふわっと、大人の姿になって女の子抱き抱える。
子供をあやすように、そっと抱き寄せる。
「この子と遊びたいわ。」
「いいけど、まだ子供だから、あそこに母親がいる。見てごらん、すごい顔で睨んでるだろ。」
俺は母さんのほうを見る。確かに、睨んでる。
「ほんと、恐い・・・。」
「だから、不用意に近づくとあの母ちゃんに怒られる。」
「あっちの子は?」
正也の方を見る。
「あれも。」
最初のコメントを投稿しよう!