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さっきまで子供みたいにはしゃいで遊んでたくせに、京は妙に落ち着いてまるで京がその子の兄ちゃんか親みたいに大切そうに扱う。
「だから、遊んでもいいか聞きに行こう。」
京はその子を抱いたまま皐月の方へ。
「皐月、いいだろ?ちょっとくらい遊んでも。」
母さんは立ち上がると、その子の手を取った。
「あなたここに一人でいるの?」
「そう。」
「一人で平気なの?」
「平気。京がときどき来てくれるから。」
「そうかしら?」
「どうして?」
「だって、あなたみたいな小さな子が一人でいると危ないわ。本当の姿を見せなさい。」
「あら、気付かれちゃったわ。」
女の子はそう言うと京の顔を見た。
「そりゃな。」
京は別に驚いた様子はない。
ふわっとその子の周りを光が包んだかと思うと、再び現れたのは子供ではなく成長した姿。
それでもまだ大人とは言えない。
「それでいいわ。うちの子たちに手出ししないでね。」
母さんがやさしく言う。
「気を付けるわ。」
女の子も穏やかに応えた。
けれど、どちらもどこか威圧的。
「こんなところに、お嬢さんが住んでいるとは。」
親父は和やかに彼女に声を掛ける。
「ええ、いいところよ。あなたも住むといいわ。」
そういって親父に手をつないでとでも言うように手を伸ばす。
「ちょっと。」
「そいつはだめ。」
母さんと京が口々にそれを止める。
「この人もだめなの?難しいのね。」
「俺がいるだろ。」
京が女の子の手を引く。
「俺はいいよ。」
秋が歩み寄る。
「ご親切に。うれしいわ。」
女の子は秋に会釈して答える。
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