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秋は青い炎をまるで綿毛でも飛ばすように細かくふわふわと散らす。
「わぁ、綺麗・・・。」
京と秋が彼女の相手をしながら、しばらく川であそぶ。
鬼の女の子。母さん以外の。
初めて見る。
秋が放った細かい炎がきらきらと水面を照らす。
その中に佇む彼女は、神秘的でまるで妖精か何かみたいだ。
パシャっと顔に水が掛る。
見ると和泉さんだった。
「見惚れてんじゃねーよ。」
「え、いや。ちょっと珍しかっただけですよ。」
俺は水を掛け返す。
それを逃れるように、手で顔を庇っう和泉さん。
俺が掛けた水が炎にきらきら煌めいて、和泉さんの仕草がスローモーションで俺の目に焼き付く。
うわっ・・・すげえ、きれい。
その情景に釘ズけになる。
バッシャーン。
え・・・。
頭から水を被った。
俺は何が起こったかわからずに、呆然としていた。
前にいた筈の和泉さんは、俺を避けて下がっている。
「あっはは。だーかーらー。気抜き過ぎだっつーの。和也。」
京の高笑いが聞こえる。
「京・・・。てめえは、大人しく正也と遊んでろっ。」
俺は京に水を掛ける。
「うっわっ。無茶すんなっ。和也。」
京が逃げる。
「正也っ、躾とけって言っただろっ。」
「はあ?知らねーよ。兄貴がぼけっとしてんのが悪いんだよっ。」
正也まで喜んで、俺に水を掛けてくる。
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