141人が本棚に入れています
本棚に追加
ひとしきりみんなで騒ぐと、女の子は帰っていた。
俺達もいい具合に体が冷えたところで、小屋へ戻って雑魚寝。
次の朝、親父と母さんと和泉さんは先に戻ってもらって、残ったメンバーで後片付け。
どうも、正也の機嫌が悪い。
昨日のあの子か。
むすっとして口数の少ない正也を俺が眺めていると、秋が寄って来た。
「なんだあれ。」
不満そうだ。
「ああ、あのー、あれ。」
「は?」
「ヤキモチ」
「ああ、そんじゃ、あっちは?」
納得して、今度は京の方を見る。
「あっちも。」
「は?」
「両方がヤいてんだろ。」
「なんだそれは。」
たぶん、俺があの子に見惚れたように正也も見惚れたはずだ。
片づけを終えて、本部へ戻る。
相変わらず、御両人は口数が少ない。
家に戻っても状況は変わらないようで、特に正也がむくれてる。
京はまあ、少し機嫌が悪い程度だ。
俺は和泉さんと引っ越し先の相談。
食事の後でテーブルに物件の資料を広げる。
秋も興味があるようで一緒に見てる。
そこへ京も入ってきた。
正也は部屋に行ったきりだ。
本部との距離、正也の学校との距離、俺の大学との距離。
それから部屋数。
いっそのことワンフロア貸し切って、親父達も一緒に住んでしまおうという話も出てる。
けれど、もし京と正也が来年あたり出て行くとなると、正味秋と和泉さんと俺の三人でワンフロアはもったいないよな。
二人がどうするかを聞きたくても、この状況では聞きづらい。
最初のコメントを投稿しよう!