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待機席に座ると、桃子が近寄ってきた。
すでに店内は一組客が来ており、由紀恵が接客している。
由紀恵の客だから、そのうちヘルプで私が呼ばれるはずだ。
それまでの辛抱か…と桃子を見た。
「ナナちゃん、あの人最近来ないねぇ~」
「あの人?」
すっとぼける。何でも聞きたがる桃子は、聞くだけならともかくそれをスピーカーのようにあちらこちらで話すから極力会話をしたくなかった。
店もさっさとこんな使えない女クビにすればいいのにと思うが、見た目だけはいいので、切るに切れないのだろう。
「ほらほら、あの社長だよぉ~、ナナちゃん指名して毎日のように来てた若くて、シュッとた人!」
「ああ、神田さん?」
「そうそうそう!最近見なくない?」
「そうだねぇ~」
曖昧に答える。
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