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なおも食いついてきそうな桃子だったが、黒服がやってきて
「ナナさん、由紀恵さんの席、場内指名です」
と告げたため、そこで強制終了された。
私はほっとしながら立ち上がり、神田の顔を思い浮かべた。
顔はいいが軽薄な男。
ただの二代目というだけで社長が出来ていたにすぎない。
社長といえども、社員が五人くらいしかいない小さな事務所でやってるだけのものだ。
それを自分の力だと過信して、女の子に傲慢に振る舞う神田の顔を思い出し、ぞっとしながら顔を振った。
あいつがここに来ることはないだろう。
何せ、会社がつぶれたのだから。
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