夜の世界

17/28
前へ
/61ページ
次へ
彼、田中一樹とは、私が上京してきてすぐ知りあって付き合っている。 私は熊本県の片田舎で生まれ育った。 セラピストの専門学校まで熊本で通って、卒業と同時に東京に出てきた。 就職先が東京に決まったからだ。 本当は学生の時から東京に出てきたかったのだが、親がうるさかったのとお金がなかったのとで泣く泣く諦めたのだった。 仕事が終わった後に、たまにBARによることがあった。 一人でオシャレなBARに行くことが働いている女の象徴のような気がして、私はいくつかまわったうちの一番シックなBARに週に一度立ち寄っていた。 その時に、知り合ったのが一樹だった。
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加