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カレンダーを見れば
わかるように
今日は11月後半だ。
いくら温かいジャンパーを
着ているからといって
寒いものは寒かった。
…でも、寒さで澄んだ空気と
冬独特の透き通り、
高くなった空。
そして、紺碧の海。
なにもかもが完璧だった。
後ろから景吾の声が聞こえた。
跡)「おい。今日が
何の日だか知ってるか?」
自)「んー…。
さっきも考えてたんだけど
わかんないんだよね…。」
跡)「今日の日付は?」
自)「日付?」
ケータイを
ポケットの中から出して
日付を確認する。
自)「11月22日だよ?」
跡)「**。こっち向け。」
いつの間にか
遠くで聞こえていた声が
真後ろで聞こえた。
言われた通りに
振り返るとそこには、
そこには、
視界いっぱいの紅があった。
自)「あか…?え?」
よく見てみるとそれは
沢山の真っ赤な薔薇だった。
自)「これ、どうして…!」
跡)「どうにも、今日は
『いい夫婦の日』らしくてな。
どうせならと思って。」
自)「クスクス)景吾ってば
キザすぎ!」
跡)「…嫌いか?」
自)「いいえ。そんなところも
愛してますよ。」
跡)「知ってる。」
自)「すっごく嬉しい。
ありがとう!」
花束を受け取って
笑顔で言うと、
景吾は少し恥ずかしそうに
「あぁ」って言って
微笑んだ。
11月22日 いい夫婦の日
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