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ほとんどが終わって
残りは線香花火だけになった。
**さんとしゃがみながら
ふたつの丸い火を見つめる。
日)「…で、どうしたんですか?
…なにかあったんでしょう?」
そう言うと**さんは
少しだけ目を見開いて
「若にはかなわないね」
なんて切なそうに笑った。
少しだけ嫌な予感がした。
自)「…私ね?
卒業後、留学するの。」
ぽとりと線香花火の火が
同時にふたつ落ちた。
日)「…。」
自)「イギリスに、2年間。
高校最後の1年は
こっちで過ごせるけど
若の中学卒業と高校入学は
見れないみたいなんだよね。
来年の夏だって
若と花火も出来ないし
一緒にいることも出来ない。
…だから、今のうちに花火やっとこうと思ってさ。」
回りが暗くて**さんの
表情が見れなかった。
それでも、
辛そうに笑っているのは
容易に想像できた。
日)「…**さん」
俺は、**さんを抱き締めた。
自)「わか、」
日)「だからなんですか。
…確かに離れるのは
寂しいです。
でも、メールも電話も
出来ます。
長い休みに入れば俺が
会いに行きます。
どんなにはなれていても
俺のこの気持ちが
変わることはないし
薄れることもない。
何が心配なんですか。」
自信満々に言ってやると
**さんは少しだけ笑った。
自)「若なら
そう言ってくれると思った。
…ありがとう。」
日)「**さんはなんでも
一人で抱え込みすぎなんです。
少しは俺に相談くらい
してくださいよ。」
自)「そうだね、ごめん。」
そう言って微笑んだ。
光輝く光の花
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