頼む、もう少し落ち着いてくれ!

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「…………」 まさか、ここまでとは思ってもいなかった。 屋上から戻り、部室のドアを開けたところで、俺達は立ち尽くしていた。 「「「ようこそ、バンド部へ!!」」」 男どもが声を合わせていう。 今までにないほどそろっている。 「な、何だ?このありさまは…」 それ以上に、この短時間でよくもまあというほど、部室は飾り付けられていることに驚いた。 「何って、ミユキさんの歓迎会に決まってるだろ?」 タケシが、さも当たり前という顔で言い放つ。 ミユキは、この待遇が気に入ってか、笑っている。 …どうやら、この気持ち悪さに気づいていないようである。 「どうぞ、こちらへ。」 タケシがミユキの手を取り、ぎこちなく椅子までエスコートする。 その椅子を、ヒュウガが引き、ミユキを座らせる。 そして、我が部の誇る音響システムを駆使し、ユウキが宣言する。 「只今より、金田ミユキさんの歓迎会をはじめマース!」 ユウキのマイクパフォーマンスは、ピカイチだ。 「どうよ、この歓迎会は?」 ヒュウガが耳元でささやく。 「やりすぎだろ…札出してくる。」 そう言うと、俺はユウキの司会を背に、部室を出た。
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