頼む、もう少し落ち着いてくれ!

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「ちょっと、勝手に音響使ったでしょ!?」 サキティに見つからぬよう、写真部の暗室に隠れていたのだが、見つかってしまった。 「お前の考えることなんて、すぐわかるとさ。」 サキティの後ろから、幼馴染の桐原勝太(カツタ)が顔を出す。 一人で練習したいとき、カツタに頼んでここを使っていたのが、ばれていたらしい。 カツタもバツの悪そうな顔をしている。 「音響使うなら、事前に申し出なさいって、何度言わせればわかるの!?」 ……どう考えても俺は悪くないはずだが、サキティにはわからないらしい。 「あのさあ、俺使ってないんだけど?」 無駄だとわかってはいるが、一応抗議してみる。 「あなたは使ってなくても、副部長なんだから、ちゃんと指導してよ!」 いかにもサキティらしい、理不尽な言い分である。 「………はあ、だから知らないって…」 「言い訳しない!」 ……やはり無駄だった。 いっそ、知るかと一蹴してしまえばいいのかもしれない。 だが、俺の性格ではそんなことはできない。 “これだから駄目なんだろうな・・・・・・”
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