頼む、もう少し落ち着いてくれ!

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「ふぅ…面白い人たちだね!」 学校からの帰り道、隣を歩くミユキが言う。 手にはコーラの缶を持ち、蒼く澄んでいる空を見上げている。 「見かけは、な…」 俺は、足で石を転がしながら答える。 そんな俺に、ミユキはコーラを一口飲んで反論してくる。 「そんなこと言うから、ミライはオタクなんじゃない?」 「うっ…」 ミユキは、いつも痛いところを突いてくる。 それも慣れたことだが、さすがに心が痛い。 俺は石を強く蹴り、その行方を目で追った。 石は転がり、路肩の排水溝に落ちる。 コツン、という音が、空洞を伝って近くの排水溝からも聞こえてくる。 その音に混ざって、ミユキの 「子供だなぁ…」 という声が聞こえてきた。
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