ねぇ、どこか行こうよ!

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「……副部長の交代ぃ!?なんでさぁ!?」 以前から思っていた疑問を、部日誌を出すついでにサキティにぶつける。 俺の副部長で納得していたサキティは、当然、大声で質問を返してくる。 少し恥ずかしくなって、俺はうつむきながら言う。 「だって、フジさんいるじゃないすか!ミユキもいるし……。」 うつむきながらそう言う俺の背中を、誰かが叩く。 驚いて振り向くと、そこには数学担当教師の高田治文(ナオフミ)が立っていた。 「おまえは何を言って言るのだぁ?我慢しろ、我慢をぉ!」 47歳には見えない外見と、バリバリのお国訛りに、俺は少し押された。 「高田先生!丁度良かった~!」 サキティは喜びの声を上げる。 話の分かる人が来た、という感じだった。 「今三年生がいないのなら、当たり前だろう!」 この一言で、俺の完全敗北が決定した。 ついでに渡された青空演奏会のプリントと、不平感を胸に、俺は職員室を出た。
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