ねぇ、どこか行こうよ!

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「薬指が…そうそう、この一番太い弦で……。」 目の前の小学生が、目を輝かせながら指を動かす。 誰かに教えるというのは、案外面白いものだ。 俺達――東学園バンド部は、今学校近くの大きめの公園にいた。 なぜかと言うと、今日は青空演奏会だからだ。 が、演奏会自体は一時間は前に終わっている。 今やっているのは、今回初めて開催している演奏体験会だ。 ……これが意外と盛況なのだ。 「……サキティ、そろそろ時間じゃないか?」 隣に立ち、笑顔で見守っているサキティに言う。 「そうね、思ったより人気だったわ~」 そういうと、サキティはマイクを持って 「そろそろお時間となります。今日はありがとうございました!」 と言った。 この一言で、会はお開きとなった。
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