プロローグ「インフィロット」

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遂にこの日が来たんだ…! 六年の間技術学校に通って、僕は念願の時空管理局の局員になれました。 正確には管理局発祥の地「ミッドチルダ」の地上本部です。 時空管理局……… 幾多も存在する次元世界を統括、管理することで次元世界の治安を守る警察と裁判所が一緒になったような組織です。 僕はある事をきっかけに時空管理局に強い憧れを持つようになりました。 でも、魔力を持たない自分に何か出来る事はあるんだろうか… そう考えて選んだ道が「技術士官」への道でした。 管理世界の治安維持や犯罪者への対処の為に、管理局には沢山の新技術や新デバイスが送られてきます。 技術士官はそんな新技術等を観察、試験調査と同時にその場での誤差の調整を行うのが仕事です。 影ながらも戦う魔導士達を支える重要な役職だと僕は信じています。 あ、申し遅れました!僕の名前は……… 「ツバサ・ヤマザキ技術二尉、本日付で地上本部技術試験課へ配属となりました!! まだ色々と解らない事もあるかもしれませんが、全力で頑張らせていただきます!!」 中学生ぐらいの少年が初々しくまだ着慣れていない制服をわずかに正すと技術試験課の総監「シド・ジョナサン」に敬礼したまま挨拶する。 「なかなか若いな、君は。 君ぐらいの年の子の配属はかなり珍しいが…何か理由があるのかね?」 シドは無骨な風貌ながら大人の優しさを持った声でツバサに聞く。 「はいっ!魔力を持たない自分にとって、何か出来る事は無いのかと考えて選んだ結果であります!! それに、新技術を安全に魔導士達が使うためには、とても重要な役職だと信じております!!」 ツバサの目に全く嘘は感じられなかった。 それを見たシドは僅かに頬を緩め、ツバサにこう告げた。 「良かろう。 君の配属先は第63技術試験隊「インフィロット」だ。 それと、もう一つ。現実とはかなり厳しい物だ。子供には解らんかもしれないが、理想と現実の違いで悩んだりはしない事だな………。」
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