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喫茶店を芦野さんの腕をむんずと捕まえて出てきて…
ハッと我に返った。
「やだ…芦野さん…ごめんなさい!」
私ったら怒りに任せて、芦野さんを引っ張って歩いていたんだった。
「ハハハハハッ!広瀬さんって面白いね!よし、今日はとことん広瀬さんの謎を解き明かさなくちゃ!行こう!」
と満面の笑みを私に向けた。
あの高校生のおかげで…
少し緊張がほぐれたかな?
歩道の信号が点滅し始めて、芦野さんは私の手を取って、走った。
ドキン…
ドキン…
初めて…男の人と手を繋いだ…
大きくて…
あったかい…
芦野さんの、その短く立たせた髪を私はずーっと見ながら歩道を渡りきった。
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