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それから時は過ぎて、金曜日。
もちろん私は、一番乗りの出社。
窓の外をぼんやり眺めていたちょうどその頃――…
会社の入口のところでカンナは、芦野さんを待ち伏せていた。
「芦野さん。」
「あ、池内、おはよう」
「単刀直入に言わせていただきます。若葉を本当に好きなら…傷つけることだけはやめて下さい。あのコは…本当に純真無垢なんです。本気じゃないなら…あのコに近づかないで!」
朝からびっくりしたのだろう、芦野さんは、目を丸く見開いてから、すーっと口元を緩ませた。
「悪いけど…俺は本気だよ。もし…彼女が付き合ってくれるなら…絶対に大切にする…」
そういうと、会社の中に吸い込まれていくように入って行った。
そんなことがあったこと自体、私は知る由もない。
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