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なおみ
「…なんでもない。松田さん、行こっ」
松田
「う、うん。いいの?」
なおみ
「いいの!」
こずえは、純二となおみの間で何かあったと思った。
松田
「さっき言ってた竹本さんって…」
なおみ
「今付き合ってる人。でも、多分もう別れると思う」
松田
「…別れちゃえ」
なおみ
「えっ!?」
松田
「そんな奴と別れて、…俺と付き合ってくれないか」
なおみ
「松田さん?」
松田
「…君が好きだ」
なおみ
「あ、あのー、私…」
松田
「そいつのこと、すぐに忘れることできないと思うけど、それでもいいから」
なおみ
「松田さん…、もう少し待って。ちゃんと結論出すから」
松田
「…わかった。待つよ」
夕方、北原家に着いた。
なおみ
「送ってもらって、どうもありがとう」
松田
「また誘ってもいいかなぁ」
なおみ
「…うん」
松田
「よかった。それじゃ、なおみちゃん、またね」
そう言って不意を突き、なおみの頬に軽くキスした。
なおみ
「きゃっ、松田さん」
松田
「ははは、ごめんごめん。じゃ、また」
松田は、なおみに手を振って帰っていった。
次の日、こずえはなおみを、教室の隅へ連れて行き、前日のことについて問いただした。
こずえ
「なおみ、きのうの人って、誰?」
なおみ
「…」
こずえ
「なおみには竹本さんって人がいるんだよ?なのにどうして…」
なおみ
「松田さんは、私の命の恩人なの。映画見に行こうって誘われて、断りきれなかったの」
こずえ
「竹本さんはこのこと知ってるの?」
なおみ
「…純二さんの話はしないで」
こずえ
「どうしたの?ゴールデンウィークに行って喧嘩でもしたの?」
すると、思い出したのか、なおみが泣き始めた。
こずえ
「ち、ちょっと、なおみ…」
孝行
「あ、こずえがなおみを泣かせた」
こずえ
「四日市で何かあったの?」
しかし、なおみは泣くだけで何も答えない。
孝行
「マジでどうしたんだよ。これは普通じゃないぜ」
こずえ
「今話せないんなら、いつか話してね。なおみが落ち着くまで待ってるから」
なおみ
「ごめんね、こずえ。放課後、ちゃんと話すから」
こずえ
「わかった」
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