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それから2、3日後、なおみは、風邪で寝込んでいる英雄の使いで、港署に来た。
なおみ
「こんにちは」
受付
「こんにちは。松田くんね、ちょっと待ってて」
なおみ
「あ、あの、違うんです。今日は父の使いで…」
受付
「あっ、そうだったの。でも、かなりの評判よ。竹本さんから松田くんに乗り換えたんじゃないかってね」
なおみ
「そんなこと…ありません。それじゃ」
そこへ、廊下でばったり松田とすれ違った。
松田
「やぁ、なおみちゃんじゃないか」
なおみ
「あっ、この間はありがとうございました」
松田
「いやいや、こっちこそ。また誘ってもいいかなぁ。そのときはお弁当作ってほしいな」
なおみ
「はぁ」
松田
「じゃ、また連絡するよ」
そういって歩いていった。なおみは、何も考えずにその場に立ち竦んでいた。積極的な松田に圧倒されたのだ。
少しして我に返り、一係に向かった。
なおみ
「こんにちは」
西田
「あっ、来た来た。待ってたんだ」
なおみ
「遅くなってごめんなさい。ちょっと廊下で話しかけられて…」
西田
「松田くんに?」
なおみ
「何でわかったの?」
西田
「港署の中で、なおみちゃんに積極的に話しかけるのって、俺か松田くんくらいしかいないからね」
春日
「かなりの評判になってるよ。竹本刑事とは別れたの?」
なおみ
「別れてません!…ただ、今ちょっと喧嘩中で…」
西田
「珍しいなぁ、喧嘩だなんて…」
なおみ
「純二さんが悪いのよ。浮気なんかするから…」
西田
「ま、まさか…。なおみちゃん一筋の竹本に限ってそんなこと…」
なおみ
「純二さんの婚約者って人にも会った。…でももういいの。松田さんは優しいし、すごくいい人だから。あっ、これ、父から預かってきた書類です」
井上
「ああ、ありがとう。ところで、署長の具合はいかがですか?」
なおみ
「みなさんにはご心配いただいて、ありがとうございます。でも、まだ熱が下がらなくて…」
井上
「そうですか。なおみちゃんもうつらないように、気をつけてね」
なおみ
「ありがとうございます。それじゃ」
その夜、やっと純二から連絡が来た。
良子
「はい、北原でございます」
純二
「竹本です。ご無沙汰してます」
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