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なおみ 「そうなの…。ちっとも知らなかった。…淋しくなったね」 西田 「野村さんの代わりの人がもうすぐ戻ってくるはずなんだけど…」 しばらくして、一係のドアが開いた。 井上 「…」 西田 「あっ、井上さん、紹介します」 井上となおみは、お互い紹介しあった。 しかし、井上はあまりいい顔をしない。それは、まだ署長の娘であることを知らないからだ。 井上 「いくら知り合いがいるといっても、こんなところまで来てもらっては困るなぁ」 西田 「なおみちゃんは特別なんです」 井上 「なぜだ?」 西田 「そ、それは…」 そこへ英雄が一係に入ってきた。 英雄 「なおみ、待たせたな」 井上 「署長」 なおみ 「あっ、お父さん」 井上 「お父さん!?」 西田 「そういうこと」 英雄 「そろそろ行くか」 なおみ 「はい」 西田 「どこへ行くの?」 なおみ 「神田の父のお墓参り。じゃ、行ってきます」 西田 「いってらっしゃい」 春日 「お気をつけて」 2人は一係を出て、港霊園に向かった。 途中でなおみが、純二の父も同じところに眠っていることを思い出した。 なおみ 「お父さん、純二さんのお父さんのお墓も参ってあげて」 英雄 「そうか。わかった」 墓石も綺麗に洗ってやろうと。英雄がバケツに水を汲みに行った。なおみは、先に神田家の墓へ行こうとした。その時、墓の前に誰かがいるのが見えた。なおみが近づいてみると、それは純一の母の孝子だった。 なおみ 「おば様?」 孝子 「あっ、なおみちゃん。こんにちは」 なおみ 「どうしてここに?」 孝子 「以前にあなたのお母さんから伺ってたから。神田さんは、私とは古い知り合いなのよ」 そこへ英雄がバケツを持ってやってきた。 英雄 「…あ、あなたは…」 孝子 「…ご無沙汰しております」 英雄 「…なおみ、すまんが掃除しといてくれ。この人と話があるから」 なおみ 「…わかった」 英雄は、孝子を連れてなおみから離れた。 英雄 「いったいどういうつもりなんだ」 孝子 「すみません。でも、1度は参りたくて…。私たちが離婚したおかげで、子供たちを不幸にしてしまって、とても反省してるんです。ですからそのお詫びと思って…」
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