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英雄 「なおみに気付かれないように帰ってください」 孝子 「…わかりました。失礼します」 孝子は涙を流しながら、英雄の前から去って行った。 英雄が墓の前に来たのを見たなおみは、孝子がいないのに気づいて、英雄に尋ねた。 なおみ 「おばさまは?」 英雄 「用事を思い出したとかで帰ったよ」 なおみ 「そうなの。でも、お父さんとおばさまが知り合いだったなんて、ちっとも知らなかった」 英雄 「…大学時代の友人だったんだ」 なおみ 「へー、初耳」 英雄 「ほら、喋ってないで拝みなさい」 なおみ 「はーい」 その後、竹本家の墓にも参り、家路についた。 その頃、四日市の純二は、4月1日から配属になった森田茜に、今日も付きまとわれていた。 茜 「竹本さーん」 この森田茜、純二のことが好きで、いつも付きまとっている。あとに純二となおみの関係を脅かす行動を取る。 茜 「竹本さん、明日どこかへ連れてって」 純二 「何で俺が…」 茜 「だって…。私、竹本さんのこと好きなんだもん」 純二 「あのねぇ、俺には彼女が…」 茜 「知ってるわよ。でも東京でしょ?わかんないって」 純二 「そういうことじゃなくて…」 茜 「ねぇ、いいでしょ?」 純二 「あ、明に連れてってもらえよ。あいつは彼女いないし、明日も暇だろうから。それじゃ」 純二は、これ以上構っていると酷い目に遭うと思い、足早にそこを立ち去った。 茜 「んー、もう!もう少しだったのに!」 いつもこの調子であった。 そして、それから3週間後、今日からゴールデンウィークが始まる。 英雄 「なおみ、ゴールデンウィークは四日市へ行くのか?」 なおみ 「うん。期間は短いけど、どうせまた部屋が散らかってるだろうからね」 英雄 「そうか。ちゃんと連絡しておかないと駄目だぞ」 なおみ 「はーい」 そして四日市へ行く日。なおみは連休を利用して、5月3日から5日まで行くことにした。 2人は事前に、名古屋駅のゆりの噴水のところで待つ約束をしていた。 純二 「なおみ!」 なおみ 「あっ、純二さん!会いたかったー」 純二 「俺もだよ」 2人は、回りも気にせず抱き合って再会を喜んだ。 純二 「今回はいつまでいられるんだ?」
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