活動報告0。「はじめまして。生徒会です」

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トントン 「ん?」 「……」 …そんな眠そうな目でこっち見ないで下さいよ。 まあそれがノーマルって知ってますけど。 「ビッ…ビッ…ビシイッ!」 いや、指で表現されても分からないし。 あ、なんかやり直そうとしてる。 「…いや、やり直さなくて良いです。分からないんで」 「……」 いきなり無言で指を荒ぶらせたこの人は3年生の夜崎言葉(よざきことは)先輩。 なぜか話さないで指で全てを伝えようとしてくる。 よく分からん人だ。 生徒会議長…絶対人選おかしいだろ。 「シュウ、先輩は今、『こんにちはー』って言ったんだよ」 水城が言う。 夜崎先輩が肯いているぞ。 よく分かるなお前。 しかし…我らが会長は今日もいつも通りか。 「お願いします!日曜の試合に出てください!」 「……」 今度は何部員だろうな。 無表情で話を受け流しているのは葦戸高校生徒会会長。 駿河隆一(するがりゅういち)。 成績優秀、スポーツ万能、品行方正、容姿端麗。 マンガみたいな人だ。 ちなみに言われる事やる事もマンガみたいだ。 「…何を頼んでるんだ?」 ずっと頭を下げている奴に尋ねる。 「それが…実は日曜にバスケ部の試合があるんです。それで先輩に会長に助っ人頼んで来いって…」 「あー…そういうことか」 先輩は葦戸高校(以下葦高)の部活を全部掛け持ちしている。 文化部も例外ではない。 なのでちょくちょく助っ人を頼まれるのだ。 …ていうか全部って良いのか。 「って事は1年か。なら知らないのも無理ないか」 「何をですか?」 「この人との交渉の仕方」 この人はある条件を出せば案外簡単に頼みを聞いてくれる。 仕方ないから教えてやるか。 「焼きそばパン」 「は?」 「児島ベーカリーの焼きそばパンをいくつか渡せば大丈夫」 「からかわないで下さいよ」 「いやマジで。一回試してみな」 この会長焼きそばパンが大好物らしく、学校の近くのパン屋、児島ベーカリーの焼きそばパンとなると目の色を変える。 なのでこの人に頼み事をするなら児島ベーカリー焼きそばパンを渡せば大抵の事は大丈夫だ。ちなみに1個120円(税込み) 「あ、その前にちょっと待ってくれ」 「え?あ、はい」 本当に訳わかんない人だ。 あんだけ騒いでたっていうのに… 「この人起こすから」 「…寝てたんですか!?」 そう、寝てたんです。 目開きっぱで。 器用というかなんていうか…。 「駿河先輩、起きて下さい。また助っ人頼みに来た人ですよ」 「…ん。ああ、すまん。おはよう秀司」
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