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「シュウ、今先輩は『こうやって愛人を驚かしたら、つるってなってずてんゴチンきゅ~、ってなった』って言ったんだよ」
「なるほど。余計分からん」
夜崎先輩は喋っても意思の疎通が出来ないな。
擬音ばかりで分からん。
つまりはどういう事なんだ。
「つまりだシュウ。愛人は夜崎先輩に驚かされ、俺のドライバーを踏み、転んで頭打って気絶したってことだ」
分かりやすい説明ありがとう、仁。
「つまりお前のせいか」
「どうしてそうなった、シュウ」
「なんとなく」
「…ついさっき完成したからお前の部屋に仕掛けるぞ」
仁が黒い角砂糖みたいなものを取りだした。
「何だそれは」
「盗聴器」
「さっきのでかいやつなんだったの!?」
「え?あー、あれは…。説明は長くなるぞ?」
「一言で言ってくれ」
「透視装置、カメラ、録画機能付き」
「何に使う気だ!?」
「別に使わない、ただ単に作りたかったんだ」
さらりと言いやがった。
だいぶすごい事じゃないのか…?
そう言うのはよく分からんが。
「ぅ…」
愛人が小さく呻いた。
目を覚ますみたいだな。
「お、気がついたか。大丈夫か?」
駿河先輩が聴く。
愛人はまだ意識がはっきりしていないようだ。
「…仁、水城、夜崎」
三人が一斉に動きを止めた。
…ドアの前で。
逃げる気かよ。
「どこに行く気だ?」
駿河先輩が低く言いながら人差指で眼鏡を押し上げた。
また曇りガラス化してるよ。
ほんとどういう仕組みだ。
「…足りない部品を買いに」
「さっき完成したと言っていたな?」
「おなか減ったから購買に…」
「お前の鞄の中にあるよな?無いなら俺の鞄にパンがある」
「シュビビッ。シュビッ。ビッビッビッ」
「それは今やる事じゃない」
駿河会長は三人の口実―夜崎先輩のは口実で良いのか?―を全て却下し、自分の目の前の床を指して
「全員正座」
あー…始まっちゃった。
駿河先輩の説教。
こりゃもう今日の活動は終わりかな。
「…えっと。時戸先輩、どういう状況ですか?」
「いつも通りだよ…」
今日も平和だな…。
多分…。
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