野武士の唄

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鬼、だべ。 あれは、ととさまとかかさまの皮を被った……鬼だべ。 「はぁっ……はっ、……ッっは……!!」 暗い。 おらの身体は縄で縛りあげられて、この小屋を支える一番太い柱にぐるぐると巻きつけられとる。 乱れた呼吸を整える余裕も無いまま、おらは真っ暗な馬小屋を見回した。 木綿の着物の裾は擦りきれ、滲んだ赤い血が転々と着物を染める。 「……は、っはぁっ。 とと、さま……。 かか……さ、ま……!!!!」 狂ってるだ。 家の中、ととさまは鍬を振り回していた。 それがじじさまの頭にぶつかって、グチュリ、と音がした。 また野武士が来るさ。 もう、この村も終わりだべ。 そう笑ったととさまは、鍬でじじさまの頭を砕いて殺し、もう年のせいで動けないばばさまの腕と足を千切ってぐちゃぐちゃにした。 かかさまは、大声で笑ってそれを見てたべ。
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