アイドルと生徒

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つまりその学園長さんに慈悲で学費を安くしてもらうらしい。 「でもお金持ちの人達ばかりだとマナーとか厳しいんじゃないの?」 俺は生まれてからマナーなど覚える機会などあるわけもなく、普通の一般人が急にそんな学園に適応できるとは思えない。 「そんな心配はするだけ無駄だぞ、なんでもその学園の生徒会は不思議な子達が多いと聞いたからな」 不思議ってどういう意味だ? 疑問に思っていると、父はいつの間にか学園の案内書を持ってきて俺に渡してきた。 「とにかく優也はこの学園に通いなさい。お父さんはそうしてくれると金銭的にも助かるんだ」 「うっ……それを言われると断れない」 俺は出来れば父の為にも将来はいい会社に入って早く楽にしてもらいたいと考えてる。 だから高校も県立で推薦を貰おうと思っていたけど、話を訊くと学園の方が学費も安くて何より小中高大のエスカレーターと聞いた。 ここまで説明されれば普通なら断る理由はほとんど無いのだが、どうしても何かが引っ掛かる。 「じゃあ優也は来年からそこの学園の生徒だ、お父さんは嬉しいぞ」 「う、うん……まぁ父さんがそんなに喜ぶなら……」 しかし俺はこの曖昧な返事で頷いてしまった事を後悔する。
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