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「どうしたの?朝から元気ないみたいだけど?」
「ん?いや……って、えぇぇ!?」
俺の頭の回路が一瞬止まるほどの衝撃が。
何故?
どうして俺に話し掛けてきたんだ?
「どうしたの!?やっぱり何かあったの!?」
「あっ、いや、別にこっちの事なんで大丈夫です」
「ふ~ん……それならいいんだけどね。それにしても君……」
グイッと女の子がこちらに顔を近付け、お互いの距離は目と鼻の先になり、正直めちゃくちゃ恥ずかしい。
だけど今の気持ちを表情に出せばきっと女の子も引くよな。
うん。
冷静になれ優也、冷静なるんだ優也!
「おっかしいなぁ~、君の顔と名前が私の生徒データにないなぁ」
「生徒データ?」
「うん!私は副会長だからね!学園の生徒の名前と顔は全員覚えたはずなんだけどね、もしかしたら見落としたのかな~……いやいや、そんなはずは……」
「ははっ、急がしそうだな」
女の子のコミカルな動きについつい俺は笑ってしまう。
「急がしいに決まってるよ!今私は頭のデータを全て思い出して君を探してるんだから」
今度は両手を頭に当てながら、うなり声を出し始めた。
「うーん…………」
この娘には悪いけれど、多分そのデータは中等部の引き継ぎだと思う。
だから高等部から通う俺の事も知らないんだと思う。
てかそうじゃないと俺が悲しすぎる。
本当に忘れてたよ!なんて言われたら俺は入学式で登校拒否を真剣に悩むかもしれない。
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