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「駄目だぁ!やっぱり分かんないよ、ねぇ!君の名前って何?」
ついにギブアップしたようで、女の子は俺に名前を訊ねてきた。
「俺は上谷です。よろしくお願いします……そちらは?」
「私?私は…………」
「ちょっと副会長!なんでこんなところに居るんですか!?」
女の子が名前を言う前に、間に『風紀』と書いてある腕章を着けた女の子が慌てて入ってきた。
「あ、あぁぁぁぁ!!そうだった、今日は私が代表挨拶するんだったぁ!」
「そうですよ!早く来てください、先生達も怒ってますよ」
「いやぁぁ!そ、それじゃあね!上谷君!」
「う、うん……じゃあ」
そう言うと女の子は駆け足で校舎に走り去っていき、俺は再び1人になる。
俺もこんな所でいつまでもいるわけにはいかないので、とりあえず校舎に入ると、そこは別世界のような空間が広がっていた。
見渡す限りお嬢様やお坊ちゃんのような人で溢れており、中にはメイドさんや執事さんのような服を着た人もいる。
「父さんは俺に試練を与えたのか……」
そして光に満ちた生徒達はゾロゾロと移動し始め、闇に墜ちそうな俺もその生徒達のあとをついていく。
しばらく歩いていくと、大聖堂のような建物が見えてきて、確かパンフレットの説明では、入学式はその建物でやると書いてあった。
「ちょうど良かった、敷地が広すぎて道が分からなかったし」
でもクラスとかはどうなるんだろ?
校門にはクラス表は貼ってなかった、という事は適当に座っていいのかな。
まだ理解の追いつかないまま俺は大聖堂に入ると…………。
『圧倒』という言葉が頭に響く。
建物の中には恐らく高等部の生徒達が全員入るだろう広さに、もう8割くらいの生徒がイスに座っていた。
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