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彼の見つめた先を追うように振り返ると、収納棚の天板の上方。
そこには幾重ものブロック折り紙が集まってできた鶴が置いてあった。
これは自分が実家を離れ一人暮らしをする折に母が作ってくれて、離れていても寂しくないようにという意味も込められたもの。
仕事でミスをした時や上司に嫌なことを言われた時など、気分が落ち込むとこのブロック折り紙の鶴を見る。
すると、貧しくも弱音一つ吐き零さない強かな母が思い浮かび自然と勇気が出てくるのだった。
やっぱりあれは―――母なの?
「いいえ、母が作ってくれたものです 」
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